慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
教授
教室主任/診療部長
辻 哲也
ようこそ!
慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室へ
私の入局のきっかけ
私は1990年に医学部を卒業後、直接、当教室へ入局しました。いまでこそ、リハビリテーション科は専門医制度の基盤領域に位置づけられ、専門医も2916名(2024年1月現在)まで増えしたが、その当時は講座を有する大学は全国的にも少なく、専門医の数も少ない状況でした。そのような中で、なぜリハビリテーション科を選択したのか?とよく訊かれるのですが、学生のときに各科に配属されて研究を行う“自主学習”というカリキュラムでリハビリテーション科を選択したのがきっかけでした。教室の先生方は新しい分野にチャレンジしようという熱意に溢れた方々ばかりで、そのような環境の中で徐々に感化されたのだと思いますが、既存の医学で扱われてこなかった“障害”にアプローチする新しい医学領域であること、今後、深刻な問題になるであろう高齢社会の中で、この領域の専門医は必要不可欠になる(その当時は介護保険も回復期病棟もない時代でした)ことを体感し、入局を決意しました。
私の最も大切な時期
私のキャリアの中で、最も大切な時期は、2002年に静岡県立静岡がんセンターリハビリテーション科へ赴任し、開院準備にあたっていた頃です。私は、Cancer Rehabilitationをサブスペシャリティーのひとつにしていますが、その当時は、がん患者さんに、リハビリテーションが本当に必要なのかどうか、正直なところ確信がありませんでした。静岡がんセンターは、“Patient-oriented”の理念のもとで、多職種チーム医療を推進しており、リハビリテーションへの期待は開院前から大きかったのですが、高度がん専門医療機関における“がんリハビリテーションのあり方”については手探りの状態でした。
今振り返ると、開院前の半年間の準備期間はすべての病院スタッフが交流を深め、将来を語り合うことのできた貴重な時間でした。がんリハビリテーションに関する知見を深め理論構築を図るとともに、他科の先生方や看護師の方々にレクチャーを重ね、開院後の診療体制作りを行ったことが、その後のがんリハビリテーションの発展の基盤となりました。開院当初は他科からどれくらいのコンサルテーションがあるのか不安でしたが、その心配は杞憂に終わり、がん医療におけるリハビリテーションの重要性を確信するに至りました。
高度がん専門医療機関であるがんセンターにおいて、がんリハビリテーションの先駆的な取り組みを始め、着実に発展させることができたのは、当時の先生方の温かいサポートがあったからです。そのときの思いを忘れることなく、これからもさらなる発展に努め、駆け抜けていきたいと思っています。
仕事の中で心がけていること
キーワードは「社会貢献」です。医療そのものが社会貢献であり、医師として医療に携わること自体が社会に対する役割を担うことになりますが、十分に意識していないと視野が狭くなり、私利私欲や自己防衛で行動しがちです。そのため、どのような案件でも、意思決定をし、行動を起こす際には、社会貢献の視点を忘れずに考えることを心がけています。社会のためになる選択をすることで、自分自身の視野も広がり、成長できると信じています。
入局をお考えの皆さまへ
リハビリテーション医学・医療は、既存の医学で扱われてこなかった“障害”にアプローチする新しい医学領域です。教室員は新しい分野にチャレンジしようという熱意に溢れた方々ばかりです。まだまだ手つかずの分野が多くあり、私自身も日々、新しいことに興味を引かれ、様々なプロジェクトにわくわく感を抱いています。
私たちは、個性と多様性が尊重される開かれた環境の中で、生き生きと意欲的に診療・教育・研究に取り組める魅力ある教室を目指しています。皆さまのさまざまな夢が実現できるよう、豊富な指導医や臨床と研究を両立できる環境を整えています。
ぜひ私たちとともに、新しいリハビリテーション医学・医療を切り拓くリハビリテーション科医を目指してみませんか。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。